ポートランドのまちづくり

ポートランドのまちづくり

ポートランドで都市計画を勉強する大学院生のブログ

Tanner Springs Park | タナー・スプリングス公園

ポートランドで一番好きな公園、タナー・スプリングス・パーク。

 

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この公園は、レストランやリテールで賑わうパール地区(NW)の中心部に位置します。鉄でできたモニュメントで周辺が緩く囲われており、かつ、通りから数段低い場所に位置しているため、非常に賑やかな地区にありながら、一歩中に入ると、穏やかでリラックスできる空間になっています。

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Enclosure | デザインされたモニュメントが、公園の壁のような役割を果たし、にぎやかな通りから空間的に分かれています。

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公園は通りから数段下がった場所にあり、たくさんの緑と水辺が配置されています。ウッドデッキを歩くと、より高低差を楽しめます。

もともとこの地は工業地域で、その前は湿地帯だったそうです。廃材で作成された柵と、水辺のデザインが、この地の歴史を表しています。

 

日中は日差しが多いです。植物が作る影の内外にたくさんの座席、ベンチ、芝生スペースが設置されているので、お気に入りの場所を見つけて長時間座っている人もいます。

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Sunlight | 日光が降り注ぐ明るい公園内には、様々な場所にベンチが設置されています。

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階段もシーティングエリアの1つ。ここに座って読書を楽しんでいる人もいます。

 

この公園は、1区画分(60m×60m)とそこまで大きくはないのですが、いくつかのエリアに分かれています(池エリア、 芝生のエリア、ウォーキングエリア)。 各エリアは、デザインパターン・舗装の素材・植栽の種類などが異なるため、まるで3種類の公園を訪れているような気分になります。

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カーブする小道沿いには多種多様な植物が植えられており、次に何が出てくるのだろう?と探索するのが楽しくなります。右奥に少し見える池エリアと高低差があるのが分かるでしょうか?

 

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Path | 小道は常にメンテナンスされており、植物や芝生も手入れが行き届いています。お昼寝している人を発見。気持ち良さそう!

 

都心に公園を作るメリットの1つとして、雨水管理ができることが挙げられます。

アスファルトに囲まれた都心では、雨水が自然に浸透してろ過される場所がないため、行き場を失った雨水がアスファルトの表面の汚れを取り込んで滞留し、ゲリラ豪雨の原因になることがあります。こうしたことを防ぐために、都心に公園や植栽を設置し、植物や土壌の持つ自然の仕組みを利用して洪水対策を行う「グリーンインフラ」が、日本でも注目を浴びてきています。

ポートランドは1980年代からこの技術に着目しており、タナー・スプリングス・パークも、雨水管理ができるようデザインされています。他にも、まちの至る所に雨水が浸透しやすい植栽が植えてあるなど、非常に先進的です。

 

www.urbangreenbluegrids.com

 

グリーンインフラについては、別の機会に改めてポストしたいと思います!